工場・工事現場でのミストによる粉塵対策と導入事例
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10月 24
粉塵とは、空気中に浮遊する微細な固体粒子のことで、ダストとも呼ばれます。産業活動、交通工事などから発生し、呼吸器系の疾患やアレルギーの原因ともなるため、法的にも適切な対策が求められています。本記事では、ミストによる粉塵対策の効果やメリット、他の方式との比較、導入事例について詳しく解説します。
粉塵対策はなぜ重要なのか?
粉塵対策を講じることにより回避できる現場での問題について以下に説明します。
粉塵の健康への影響
粉塵は物質によっては呼吸器系の疾患やアレルギー、長期的には肺疾患や癌の原因になります。作業員の健康を守るためには、粉塵の発生を抑えることが必要です。また、粉塵が多い現場では視界が悪化し、事故やけがのリスクが高まります。粉塵対策を講じることで、安全な作業環境を確保できます。
粉塵対策の法的要件未遵守リスク
日本では各種建築基準法や労働安全衛生法で粉塵の排出に関する法律や規制が定められています。粉塵対策を行うことで、これらの規制を遵守し、罰金や訴訟のリスクを避けることができます。
生産性低下によるコスト増
粉塵は機械や設備に付着し、摩耗や故障を引き起こすことがあります。これにより、メンテナンスや修理の頻度が増し、生産効率の低下につながることがあります。また、粉塵が製品に混入・付着すると、品質が低下することがあります。これにより、再加工や返品が発生し、コストが増加します。
ミストによる粉塵抑制の効果とメリット
弊社では粉塵対策にスプレーノズルを利用したミストをお勧めいたします。以下に他方式と比較したメリットをご説明いたします。
広範囲にわたる粉塵抑制
粉塵抑制の方法の一つとして集塵機の利用がありますが、広範囲にわたる粉塵の吸引には大掛かりな設備が必要となり、設備コストと時間がかかります。ミストスプレーならノズルの調整により広範囲にわたる噴霧が可能です。
粒子径が小さいため、対象物や現場が濡れない
スプレーノズルを使用したミストスプレーでは散水機と異なり粒子の小さなミストを噴霧するため、機器や周辺を過度に濡らすことがなく、現場が水浸しになる心配もありません。
他方式と比較し、低コスト
集塵機は導入コストが高く、作動時の電力消費量が大きい一方で、コンプレッサーエアーを使用しないミストスプレー方式では電力消費量を大幅に抑制することが可能です。また、散水機と異なり、的確な噴霧量のコントロールが可能なため、節水に大きく貢献します。
導入コスト |
広範囲の鎮塵 |
ランニングコスト |
製品への影響 |
|
集塵機 |
△ | × | △ | ◎ |
散水機 | ◎ | 〇 | ◎ | △ |
ミストスプレー | ◎ | 〇 | ◎ | ◎ |
粉塵対策用ミストシステムの導入事例
事例①自動車工場
課題:
ある自動車メーカーは、塗装工程中にほこりが舞い上がるのを防ぐために、乗用車やトラックのフロアパンに手持ちのスプレーボトルで作業員がRO/DI水を吹きかけていましたが、
手作業によるスプレーでは塗布範囲が一定でなく、粉塵が車体の外面に付着することがありました。
これにより、塗料が表面にしっかりと付かなくなり、塗装不良修理のために車体工場に運ぶ必要がありました。
解決策:
AutoJet®モジュラースプレーシステムを導入しました。このシステムは完全自動のスプレー制御が可能で、既存の機器に簡単に統合できるノズルコントロールシステムです。
自動車塗装機器メーカーと提携し、ロボットアームの両側に4つのスプレーノズルを設置しました。
これらのロボットアームが窓から自動車のボディに入り、フロアパンをスプレーする仕組みで、無駄を最小限に抑えながら水を正確に噴霧し鎮塵を行いました。
結果:
粉塵による欠陥を90%削減し、4人の従業員を他の作業に再配置することができました。
塗料、RO/DI水の消費量が削減され、不合格となった自動車ボディの輸送と再加工に関連するコストも削減されました。
事例②鉱石採掘作業現場
課題:
ブラジルの大手バルクハンドリング機器メーカーは、鉄鉱石の粉塵を制御するシステムを必要としていました。
顧客が使用する貨車は、荷下ろしのために逆さまにされ、鉄鉱石が貨車からシュートに落下する際に粉塵が発生していました。
解決策:
弊社はポンプ、フィルター、3つのスプレーマニホールドを用いた水分付与システムを提案しました。
1つのマニホールドは貨車よりも上に配置され、下方向にスプレーします。残りの2つのマニホールドは、逆さまにした貨車から落下する鉄鉱石に直接噴霧します。
この配置により、荷下ろし中の粉塵を効果的に抑制できます。
この粉塵対策システムでは一流体ノズルが使用され 、他のシステムでよく使用されるコンプレッサーエアーが不要なため、コスト削減を実現しました。
結果:
このシステムにより、粉塵が効果的に抑制され、荷下ろしエリアでの従業員の安全な作業環境が確保されました。
また、システムは高価なコンプレッサーエアーなしで動作するため、同バルクハンドリング機器メーカーにとって競合に優位な点となりました。