スプレー最適化のヒント
高度なテストや分析を行わずして、スプレーシステムが最高の性能を発揮しているかどうかを判断することは困難です。しかし、以下のようなチェックを行うことで、効率的にスプレーノズルを使用をすることが可能です。
適切なノズルを使用しているか確認する
スプレーノズルは、特定の機能を発揮するように精密に設計されています。以下の表を用いて、使用目的に適したノズルを使っているかどうかをチェックしてみましょう。
ノズルタイプ | スプレーパターン | 粒子径 | アプリケーション |
フルコーン
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円錐形 | 中~大 |
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フルコーン(スパイラルタイプ) |
比較的粗い円錐形。目詰まりを起こしにくい。 | 大 |
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フルコーン(オーバルタイプ)
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楕円形全面に円錐状にスプレー | 中~大 |
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フルコーン(スクエアタイプ)
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正方形の角錐状 | 中~大 |
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フラットスプレー(山形分布型)
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両端がテーパー形状の扇形スプレー。他のフラットスプレーよりもインパクトのある噴射が可能。 | 中 |
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フラットスプレー(均一分布型)
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細長い長方形状の扇形スプレー。一般的には端から端までのパターン接触を目的としたスプレーヘッダーで使用される | 中~大サイズ |
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フラットスプレー(角度偏向型)
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細長い長方形状の扇形スプレー。スプレー角度が狭いものはインパクトが強く、広角のものはインパクトが弱い。流路が大きく目詰まりしにくい。 | 小~大 |
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ソリッドスプレー
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直進流。単位面積あたりのインパクトが最も大きい。 | 中~大 |
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ホローコーン(旋回流チャンバー型)
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中空円環状 | 中~大 |
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中空円錐型(角度偏向型)
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傘状の中空円環状 | 中~大 |
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ホローコーン(スパイラル型)
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比較的粗い中空円環状 | 大 |
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アトマイジングスプレー(一流体・微細ミスト)
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中空円環状 | 小 |
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二流体エアーアトマイジングスプレー
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円形、広角円形、360°円形、偏向フラットスプレー、フラットスプレー | 極小~小 |
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アップグレードの検討
数年前から同じノズルを使用している場合、より高精度で摩耗寿命が長い製品が発売されている可能性があります。性能を最適化するためのアップグレードは以下の通りです。
- 精密なスプレー制御で無駄なく均一に塗布できる自動スプレー
- 均一なスプレー分布を実現するノズル
- 目詰まりしにくい設計で、トラブルを最小限に抑えるノズル
- メンテナンス時間を短縮するクイックコネクトタイプのノズル
- ノズルの材質を変えることで耐摩耗性能が向上したノズル
スプレー作業の自動化を考える
スプレーコントローラーを使ってスプレー工程の一部を自動化するだけで、大幅な効率化を実現することができます。オン/オフ、エアーや液の自動制御などのシンプルなシステムから、スプレーの性能をリアルタイムで監視し、自動調整を行う高機能なシステムまで、さまざまな自動化制御があります。生産性向上・コスト削減等、多くのメリットをご評価いただいています。
- 生産性向上
- 不良率の削減
- 人件費削減
- 過剰塗布をなくすことによる原料コスト削減 等
スプレーコントロールのオプションについては、こちらをご覧ください。
定期的なノズルメンテナンスプログラムの確立
メンテナンスをおろそかにすると、年間では多額のコストロスが起こる可能性があります。さらに、品質問題やランニングコスト増は、摩耗したスプレーノズルを使用していることが原因であることに、気づかないことがあります。しかも、ノズルの摩耗は目視ではわかりにくいものです。ノズルを長持ちさせるにはメンテナンスが非常に重要です。
スプレーノズルを長持ちさせるための使用方法を知る
ノズルを定期的に点検・整備することで、摩耗を把握し、寿命を延ばすことができます。また、以下のような調整も検討してみてください。
- 圧力を下げて液速を落とし、摩耗を軽減
- ノズルを変更してメンテナンス時間を短縮
- ノズルの材質を変更して、摩耗寿命を延ばし、耐腐食性を高める
- ラインストレーナーやストレーナー内蔵ノズルを使用して異物を除去する
- 適切な清掃用具でノズルのオリフィスを清掃する
その他のシステム部品の評価
ノズルはスプレーシステムの中で最も重要な部品ですが、他の機器もノズルの性能に影響を与える可能性があります。
- ポンプ
- 配管とバルブ
- ろ過システム
- 圧力計や流量計などの計測/監視機器